情操教育‪α‬

忘却炉に送るまえに

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終わりに酒を飲むことぐらいしかやっていない、だめな1日。食材を切らしていたしスーパーが閉まっていたので、すっぴんと部屋着のまま、今夜から使うための生理用品を大量に買ったその足で、近所のよくわからない中華料理屋さんでワンタン麺と半額のハイボールを飲んだ。お店の人はみんな中国のかたで、宴会をやっている団体客も酔っ払ってデカい声でなんか愚痴をこぼしているおじいさんもみな中国のかただったので、まったく意味の理解できない言語が飛び交っていた。シェイシェイしかわかる言葉はなく、とりあえず全員、声がものすごくデカかった。携帯を持っていかなかったので完全に空間の中で孤立し、やんわりと無視されながらも存在をゆるされているその心地、情報が絶えず流れてくるのにその意味の一つも掴むことができない断絶、デカい声たちの中に埋没しただ目の前にあったかく美味い麺がある状況、にすっかり安心し、すぐに愉快になった。