情操教育‪α‬

忘却炉に送るまえに

0611

1限の1時間も前に起きられた。ひさびさに補給の感じの朝ごはんをたべる。

授業だけまじめに出て、また布団にもどる。

川上未映子さんの短編を読む。語彙の領域が似ているのか、文章の繋ぎ方に慣れ親しみがあるからか、スイスイ読み進められる。

午後、待ち合わせがあったので女装して出かけた。ひさびさの駅で降りて、懐かしいことを思い出した。薬局のある道、下り坂、夕焼けのことを覚えていて、神聖かまってちゃんの「仲間を探したい」とともにあの日の思い出が格納されている。

 

初めての人と会って、ねこの話や百合の話をして、街を歩き回った。小さな飲み屋が密集していて、そのほとんどが閉まっているのはもしかしたら平常時には滅多にないことかもしれない、でも店なんてしまっていたら全部偽物のように見えて、トゥーンタウンみたいな感じ、これらのひとつひとつから人のはしゃぐ声が聞こえてくるんだとしたら、さぞかし愉快で楽しいんだろうなあ、仲通りをアステアみたいにステップ踏んで闊歩する人たちを、見たい。

まだ敬語のまま、人の家に上がり込んで宅飲みしているのは、不思議なきもちだった。人の住む街や人の家を見るのは楽しい。初めて喋る人の声とか口調からたくさん情報が溢れ出るのを拾うのも楽しい。おうちにあったハニーワインというのを飲ませてもらった、そのぬるさと甘さと熱さがすごく美味しかった。調子に乗ってけっこう飲んだし、飲むことで会話も容易になる。

私が親しい友だちとするみたいにだらだら無制限に今を延長し続けるようなことはせず、いい頃合いになったら風呂入りますか?とか布団敷きますか?とか言ってくれるのはありがたいし参考になった。

頃合い!わたしが最も苦手なもの!

 

急遽泊まることになっているせいで携帯の充電が全然ないから、相手の風呂を待っているときは酩酊状態で文庫本を読んでいた。「女が死ぬ」のちょうど「女が死ぬ」のセクション。