情操教育‪α‬

忘却炉に送るまえに

0426

ねこをひと撫でして午前中のうちに実家を出発した。でも今日母はもっと早くに起きて胃カメラをしていて、本当にものすごく偉いな、と思った。胃カメラって小さい頃、死ぬことと子供を産むことの次くらいに怖かった。いつかは絶対にやらなきゃいけないのだから、それまでに、身体の感度以上に体内への好奇心のほうを育てておかないとな、

ノマドランドの感想を書きながら高速バスに乗っていたら、アカデミー賞をとったというニュースが流れてきた。ちょうどたくさん、ノマドランドと石について喋りたいことがあるんだよなあ誰かと、とただ思った。あんまり権威そのものに対する興味がないので、〇〇賞みたいなやつはよくわからない。映画でも音楽でも文学でも演劇でも、〇〇賞のことは、押さえておかなきゃいけない、知っておかなきゃ、の義務の感じで接している。義務だからあんまり接していないこともある。義務はおもしろくないので。

急に今朝になって13時からの授業が無くなっていたことに、家を出るまで気がつかなかった。とても時間が余ったから、ひるねをした。15分でとりあえずアラームをかけたのに、結局1時間半寝て、やっとすっきりした。寝不足の頭痛は薬で誤魔化してもだめ。

今日の授業はボイストレーナーの女性が来ていた。まえに1日だけ受けたボイトレの体験レッスンの話や、毎週わずか10分の副科独唱の話と対応させると、乗算のような効果で腑に落ちていく部分がかなりあった。「質問タイム」になったとき、いまだかつて見たことがないほど質問が尽きなかった、声楽科の人もそうじゃない人も、みんな声に対してこんなに興味があるんだな、というか、声に対してこれほど真剣なんだな、というのが面白うれしくて、ひとりでちょっと笑った。わたしも声にかけては真剣なので、「声が小さいのは息が浅いからだ、さらには声帯をしっかり閉じずに息が漏れてるからだ」「頭声で響きを足そうとすれば気持ち的には楽かもしれないが、声帯には負担を強いている」「声は気持ちや心に大きく影響されるから、わたしの話なんか誰も聞かなくてもいいし、と思ってる人は声が小さく通らなくなる」など、などのことが全部、自分の症状の理由だ!!!とおもって大感動していた。

授業の後、友達と一緒に黙って各々の作業をやって時間を潰し、もうひとりと合流してご飯を食べに行った。ふたりとも、仲良しとは思ってるし、ほんとうの会話をした思い出もそれぞれにあるんだけど、「ふだん一緒に行動しがちな人」のカテゴリの子ではないから、ただ時間を過ごし言葉を重ねるだけでも、新鮮さと充実感があってすごくたのしい。プロジェクトや共同制作の話をするつもりが、うっかり「おしゃべり」の会になってしまった。

ネパールのカレープレートには、3種類のカレーとたくさんの種類のピクルスたちがちょびっとずつ乗っていて、毎回違う味をたべられるのがたのしかった。カレーは雑穀米とよく合うやさしい味で、最高潮の空腹も相まって最高に美味しかった。

帰宅途中スーパーで買い物をして、ポイントカードアプリを開いた瞬間電池が0%になって電源が落ちたのが今日の中でいちばん悲しかった。