情操教育‪α‬

忘却炉に送るまえに

0411

きちんと顔を洗うと、すっきり、の気分になる。視界があかるいのがすごく大事だから、前髪を伸ばしている。家の中ではだめになりそうだからとにかく外に出ることにして、ドトールで作業をやった。店内がものすごく狭くて、テーブルはちいさくて、自分のテーブルの前にすぐ他の人の背中がある特殊な席に座ってしまったので、受験か塾みたいだった。

 

充電が尽きたので家に帰ってきて、休憩のつもりで読み始めた百合小説がものすごく面白かったので一気読みしているうちに日が暮れた。セクシュアリティと向き合うこと、二次創作をする人間のエネルギーに対する関心、現実を生きるセクシュアルマイノリティとフィクションとしての百合やBLの関係、など、日頃考えているトピックに触れるエピソードがたくさん包含されていた。もともとは男性の性的願望に基づいて作られた、フィクションの中の女の子だけの世界、というのが、女の子にとってのユートピアとして機能しうる、という例はいくつも現実に見てきたし、やっぱりこの小説でも描かれていて、それとしての百合を女の子が愛するというのはすごく面白い現象だと思っている。

まっすぐにフェミニズムやLGBTQを掲げるのがこんなにも難しく、社会的な親和性がない日本だからこそ、百合文化というファンタジーを取っ掛かりに「すべての女の子の肯定」を目指すのは、すごく正しくて自然な気がする。

 

夜になってから、ジムへ行った。ジムによってマシンの機種が違うし、それだけで使い心地も重さの感覚も全然違う。空間に慣れるまでは続けなくてはならないし、きちんと食事もしなくちゃいけない。

あとは家で調理をしたりするだけで1日が終わってしまった。それがもともとなんだったか、がわかるものを胃袋いっぱいに入れるのは、安心とはまた違う満足感がある。お惣菜とかは苦手、食わせようとして味付けしてきている誰かの意図も一緒に口へ入ってくるから。